3、バイ疑惑の友達を襲ってみたら~(かみべさん目線。ふー×かみver)

 俺はふーとの家に招かれた時、肌がひりつくような痛みを覚えた。

 それが何なのか分からない。ただ、ふーとにいつも通りの態度で接することができない気がした。

「ふーと?」

 恐る恐るその背中に呼びかけると、ふーとは突然勢いよく振り返り、俺に殴りかかるようにしてキスを仕掛けてきた。

「っ……ん!?」

 いつも企画でやるような戯れではない。まるで好きな相手にするような。

 俺はふーとの体を押し返そうと努めたが、体格はあまり変わらないにも関わらず、抑え込まれた。

「んっ……う……」

 気が付けば、キスを繰り返しながらベッドの上に折り重なっている。

「ふ……う、と……っ」

 キスを止めさせようと抗っているうちに、上着をたくし上げられて。

「や、め……ろ!」

 俺はふーとをできるだけ加減しながら蹴り飛ばす。完全に、いつもと逆の構図だ。

 ふーとは顔をしかめて一瞬俺を睨みつけたが。

「はい!ドッキリ大成功!」

 と笑顔で叫ぶ。

「は?ドッキリ?」

 今ひとつ理解が追いつかない俺に、ふーとは企画の説明をしてくれる。

 題して、「バイ疑惑の友達を襲ってみたら」というドッキリだという。

「何それ」

 一気に脱力した俺は、ふーとに仕返しのキスを仕掛けながら、気付くことはなかった。

 その部屋の中にカメラが一切設置されていなかったことに。   


END


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