俺はふーとの家に招かれた時、肌がひりつくような痛みを覚えた。
それが何なのか分からない。ただ、ふーとにいつも通りの態度で接することができない気がした。
「ふーと?」
恐る恐るその背中に呼びかけると、ふーとは突然勢いよく振り返り、俺に殴りかかるようにしてキスを仕掛けてきた。
「っ……ん!?」
いつも企画でやるような戯れではない。まるで好きな相手にするような。
俺はふーとの体を押し返そうと努めたが、体格はあまり変わらないにも関わらず、抑え込まれた。
「んっ……う……」
気が付けば、キスを繰り返しながらベッドの上に折り重なっている。
「ふ……う、と……っ」
キスを止めさせようと抗っているうちに、上着をたくし上げられて。
「や、め……ろ!」
俺はふーとをできるだけ加減しながら蹴り飛ばす。完全に、いつもと逆の構図だ。
ふーとは顔をしかめて一瞬俺を睨みつけたが。
「はい!ドッキリ大成功!」
と笑顔で叫ぶ。
「は?ドッキリ?」
今ひとつ理解が追いつかない俺に、ふーとは企画の説明をしてくれる。
題して、「バイ疑惑の友達を襲ってみたら」というドッキリだという。
「何それ」
一気に脱力した俺は、ふーとに仕返しのキスを仕掛けながら、気付くことはなかった。
その部屋の中にカメラが一切設置されていなかったことに。
END
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