2、バイ疑惑の友達を誘ってみたら~(いけちゃん目線。かみ×いけver) ※R15くらい

※実際は動画は同時進行ですが、1とは完全に切り離した内容とします。

 

 かみべさんにこういうドッキリを仕掛けるのは、実は最初は本当に企画だけのつもりだった。

 毎回、動画の度に濃厚なキス仕掛けられるし、ふーとも仕掛けられるのは同じだけど、微妙に俺を攻める時のかみべさんの目つきがやばかったから。

 あ、これは俺、拒否っとかないと、かみべさんの勢いに飲まれるなとか思っていたし。

 だから、何度も言うけど、企画のためじゃないと絶対に誘ったりしない。俺は女しか好きじゃないって分かっているくせに、それでもあの態度だから、俺がもし、なんて考えたくもない。

 それなのに。

 酒を飲ませて、計画通りに話を誘導していった時、

「俺のことが好き?」

 って聞かれて、一瞬ドキリとしてしまった。

 それを自分の中であれ、って思いながら、酒の瓶を握って俯きがちに、かみべさんから目を逸らす。

「かもしれない」

「かもしれない?」

 かみべさんの笑い声に対して、あんまり笑うこともできない。

 そんな俺を見て、

「いつもと違うもんいけちゃん」

 と、内心を見透かされたようなことを言われる。

 もちろんすぐに、酔っているせいにしたんだけど、俺の中では混乱と動揺が渦巻いていた。

 企画、企画、企画。何度も念仏のように頭の中で唱えながら、辛うじて冷静さを保ってかみべさんに嘘の告白を続ける。

 ただ、企画としてはいいんだろうけど、まるで本当に告白しているように表情が若干強張ってしまった。

 かみべさんに笑われることで僅かに口元を緩めることができたのはいい。でも、この企画をしようと思ったことは早々に後悔し始めた。

 気持ちを込めてキスをして、と言われて、渋々請われるままにキスをしたのに、かみべさんはやっぱりただのキスでは許してくれない。

「ベロ入れて」

 かみべさんとのディープキスは苦手だ。毎回、ぐいぐい押されて、飲まれそうになるから。

 それが、今日に限って受け身でされるがままなのが、なおさら俺を惑わせた。

 かみべさんが最後の最後で断ってくれるのを願いながら、俺はあくまでも気持ちを殺して誘い続ける。

 その目に炎が宿り始めているのに気付いていたから、すぐにネタバラシをしないとまずいというのは分かっていた。

 ただ、ここまで来たら、企画を成功させるまで絶対に引けないと、プライドを引っ張り出してかみべさんに挑む。

「分かった、いいよ。ちょっと待って」

 その答えは、もう分かりきっていたものだし、企画はこれで成功だ。

 俺はかみべさんに押し倒され、抵抗しながらネタバラシをするが、かみべさんは止まってくれない。

 許さんよ、と言いながら俺のズボンのベルトを外し、本気で俺を犯しにかかってくる。

 謝罪を繰り返すと、ようやくキスをしたら許すと言われてホッとしたけど、どこかで分かっていた。

 絶対にキスで終わらせるつもりはないって。

「んー!」

 俺はわざといつも通りの声を喉奥で発しながら、かみべさんのキスを受け、あくまでも内心の動揺を見透かされないように努める。

 でも、かみべさんにはお見通しだった。

「いけちゃん、ここ編集でカットするし、本当に1回やらね?てか、やらせて」

 耳元で息を吹きかけられながら、かみべさんお得意の甘い誘惑の台詞を囁かれる。

 いつも、リップサービスでファンにも言ってるような言葉じゃなく、本気の熱量を感じる声だ。

 俺は思わず、いつものような反応を返せずに、思考が停止した。

 それを勝手に肯定と取ったのか、かみべさんの手が俺のシャツの裾から入り込んできて、肌を這うように動く。

「ちょっ、マジでやめっ……」

 胸元の飾りを弾かれた時、はっと我に返って暴れたが、かみべさんにぐっと両腕を抑え込まれて。

「ドッキリ仕掛けた責任取ってね、いけちゃん」

 と、にっこり微笑まれた。

 


 俺とかみべさんがこの後どうしたかは想像に任せるけど、翌朝はいつもみたいにすっきり起きられなかった。

 不機嫌な俺に反して、上機嫌なかみべさんを見て、ふーとが小首を傾げたのは当然、知らないふりをした。



END



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