この企画を制作しようと決めたのは、もちろん単純に面白そうだからというのもあるけど、動画では言えない俺の隠された本心があるからだ。
それは、ふーとに俺の気持ちを知ってほしいということ。それから、自分の気持ちを量るため。
酒を用意したのは、企画のためにも酒を飲んで酔えば向こうもノッテくれるんじゃないかと思ったのもあるけど、俺も酔わないとふーとを冗談でも誘ったりできないからだ。内心、本当はがちがちに緊張しながら動画を開始した。
動画の向こうの視聴者に向かって、いつもの流れで企画の説明をし、ふーとが来るのを待つ。動画では伝わらないだろうけど、手汗がすごかった。
「今後どうするとか、企画の話」
ふーとがようやく来て、二人そろってベッドに座り、無難に今後の活動についての話を出す。
「あーね」
それからお酒を飲ませて、酔わせて、あくまでも企画で告白して雪崩れ込む、というのが俺の計画で、ちょっと怪しまれたけど、まずまずうまくいってた。
でも誤算だったのは、ふーとを煽る発言をする度に、本心が混ざり始めてしまったこと。
「してみたいなあと思って」
「してみたい!?何を」
「SEX」
ふーとが笑うのに合わせて笑いながら、動悸がすごかった。企画だと頭の片隅で理解しながらも、どんな答えが返って来るのか、それから、なんとしてでも頷かせてやろうという気持ちになっていく。
「したらどういう気持ちが湧くのかなと思って」
思わずぽろりと漏れた、俺の本音。したら自分の中で渦巻く、ふーとへの想いが何なのか答えが分かるんじゃないか。
知りたかったのは、ふーとからの返事だけじゃなく、自分の気持ちもだった。
「じゃあいいよ」
散々口説いた末にそう言われて、俺は内心ガッツポーズをする反面、動揺した。今更ながら、これが動画のための企画だということを思い出して来て、それを知った時、ふーとが傷付くんじゃないかと思ったからだ。
でも、全部嘘だと言うのは、動画上だけでいいんじゃないか。その後、謝って、気持ちを伝えたらいい。
ふーとを押し倒し、本当にやろうとする姿勢を見せた寸前、企画がばれて、ドッキリは終了した。
ここまでは、視聴者も知っている流れだが、その後、俺はふーとに自分の気持ちを伝えた。
「あれは企画ってことにしたけど、半分は本心だから」
「え!?待って、今なん……」
間を持たせて、本当のような空気をつくって、ふーとが焦り始めそうなタイミングを見計らい、俺は笑顔で言う。
「うっそー」
「おまっ、ふざけんなよ」
「ははっ、ごめんって」
たぶん、ふーともどこかでは気付いているんじゃないかと思うけど、俺の本心を伝えるのはきっとまだ先の話だ。
その頃には、今よりももっととあ男を世間に広めて、もっとファンが増えていたらいい。
全世界に俺たちの裏事情を広めてもいいくらいに。
END
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